病院/診療所における「リファラル採用」のすすめ

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病院/診療所における「リファラル採用」のすすめ

2023年5月30日 医師の採用 0


「リファラル採用」という言葉をご存知でしょうか。
IT系の技術者を採用する際の選択肢として、定着してきた採用方法で、従業員の知人・友人を推薦・紹介してもらい、中途採用の母集団とする施策です。

病院のような、専門職の集合体では、教育やキャリアの過程で、同じような専門職と多くの接点があるはずです。複数の病院で長く働く従業員であれば、前職で個人的に連絡先を交換したことのある、医師や看護師が数名はいるのではないでしょうか。

リファラル採用が上手く行くパターン

リファラル採用という制度は作ったものの、全く候補者が上がらず、制度が使われないまま忘れられているケースも散見されます。従業員が、自社のアピールポイントや、どんなスキルや特性を持っている人を会社が望んでいるかを分かっていないと、アンテナが立たず、たくさんの機会を喪失していることが予想されます。

従業員にとって採用活動は本来業務ではありません。「面倒」と思われたり、「人間関係がぎくしゃくしないか」を心配されると、動けなくなります。一方、上手く行っているケースでは、従業員に「採用の目的」が伝わっており、従業員が自ら主体的に動くのに必要な「募集の背景」や「求める人物像」が共有できています。

リファラル採用:実際のイメージ

私の職場にはリファラル採用の制度がありましたが、それが実際に上手く行ったのはランチの席でした。採用担当者が「事業企画部門で、こんな人材を募集している」という話を世間話の一つとしてしたときに、同じ席に居あわせた3年目の女性から「そういえば、この前実家に帰った時に、サークルの同級生が彼女が東京に居るので、近いうちに東京で仕事を見つけて同棲したいという話をしていた。」という話が出てきました。人事担当者が詳しく聞くと、事業企画をやりたくて教育機関の事務職として入職したものの、年齢層が高く、新しい事に対して消極的な職場にモチベーションが低下しているようでした。すぐにラインで連絡を取ってもらい、本人の許可を得て、メールアドレスと電話番号を人事担当者が入手。そこからは、通常の採用フローと同じように、履歴書提出→1次面談→2次面談を経て採用となりました。 
こういった、正に友達のパターンもあれば、前職の後輩や同僚を誘うというパターンもあるでしょう。

打合せ若手300×186

中長期的な取り組みだからこそ、従業員への半年から1年に1回の面談が有効。

リファラル採用は、「転職の希望者」が母集団ではなく、「転職の潜在者」がターゲットです。よって、短期的な効果・成果は期待すべきではありません。しかし、リファラル採用をスタートして時間が経つと、従業員にとって本来業務以外である採用活動は疎かになり、人との繋がりから潜在的な転職者をマッチングしようという思考も忘れ去られてしまいます。
そこで、長期休暇の前など、時期を決めて、採用担当者または経営者から、リファラル採用の目的と現在の募集状況について、繰り返し伝えることが必要です。

インセンティブの設定(インセンティブ額の目安)

従業員の紹介で採用が出来た場合、インセンティブ(臨時賞与)の制度を設けるのも良いでしょう。紹介会社から採用すれば、医師なら300-400万円、看護師なら100万円の成功報酬を支払うことになります。それがリファラルで浮くのであれば、その半額位まではインセンティブを出してもいいと思うかもしれません。かといって、インセンティブが高額過ぎて、1ヵ月の給与の50%を超えるような額になると、従業員にとっては、「あなたの普段の仕事は価値が無い」というような本来、経営陣がまったく意図していないメッセージが伝わってしまうでしょう。また、額が大きいと「知人を金で売った」ような罪悪感を持つ従業員も居るかもしれません。私がお勧めするインセンティブ額としては、少ないかもしれんせんが、「感謝の気持ち」として受け取れる額=5~10万円程です。


リファラル採用は制度化しよう

リファラル採用を始める際は、必ず就業規則に明記して制度化しましょう。ケースバイケースで経営者が判断するような事では、昔ながらの「縁故採用」と変わらないと思われて、逆に現場の士気が落ちてしまいます。
しっかり制度化して、採用基準は他の採用ルートと同じとすること。経営者及び採用担当者が継続して従業員に呼びかけを続ける事。これがリファラルの肝となります。
アメリカの企業を中心に、中途採用数の3割がリファラル採用であり、中途採用の経路の1位となっているそうです。専門職の集合体である病院・診療所には、とてもマッチする採用方法だと思いますが、如何でしょうか?

古い調査ですが、リクルート社の「リファラル採用」に関するレポートを見つけたので、共有しますね。https://www.works-i.com/research/paper/works-review/item/r_000297.pdf

「アイサポート東京」は、医療従事者専門の人材サービス会社で17年務めた私が、独立して、地元の東京都の多摩エリアで医師の人材紹介と、病医院の採用サポートをしている会社です。ご興味あれば、アイサポート東京のHPも、ぜひご覧ください。https://isupport.tokyo/

 

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